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1 レコード盤の音
「ソフトウェアって、いったいなんやねん?」パソコンがまだマイコンと呼ばれていた80年代初頭。コンピュータビジネスにいち早く目をつけたものの、ソフトウェアは世間ではまだまだ得体の知れないバケモノ扱いだった。
「商品の説明にいちばん苦労しました。ソフトはカタチがないんですもん。これです、って見せられませんからね。だから、レコードを回すと音が聴こえるでしょ、その音のようなもんなんですって説明してたんです」
 そんな時代に、世界初の日本語ワープロソフト『マイレター』を創った。創業翌年のことだ。だが、コンピュータを買えば、ソフトウェアは付いていてあたりまえと考えられていた。ハードウェアとソフトウェアの区別や概念がなかったのだ。
「タダだと思っていたものにお金を出す。納得してもらうのに時間がかかりました」
 ユーザーにとっては、グリコのオマケにお金を払えと言われたような感覚だったにちがいない。


 

≪KEY PERSON≫

高 基秀氏(68歳)

≪PROFILE≫

1934年、韓国・済州島生まれ。
中学生のときに知人を頼り来日。早稲田大学卒業後一時帰国するが就職口がなく、再来日。大学時代のアルバイト経験を活かし、電気工事会社に入社。5年後、電気工事会社を興す。1979年、社員2名と株式会社高電社を創業。

≪COMPANY DATA≫

●設立●
1979年7月

●事業内容●
ソフトウェア開発販売、パソコン周辺機器販売、インターネット販売・情報サービスなど

●所在地●
大阪市阿倍野区昭和町3-7-1



 
取材・文/中村 神無  写真/滝沢 稔