Since 【第21回  

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5 魔法
 現在、芦屋ぎんなんは23の店舗を抱えるまでに成長した。それでも彼にはもっと大きな夢があるという。
「アメリカ進出を果たして、ニューヨーカーにウチのシュークリームを食べさせたい。あと、建築家の安藤忠雄さんとコラボレーションできたらなぁって。夢みたいな話ですけど」
 少し恥ずかしそうにはにかむ。しかし、夢物語では終わらないことを、彼自身がいちばんよく知っているはずだ。
「“芦屋ぎんなん”の“ぎんなん”には廃棄処分の弁当と同じような意味があるんですよ。御堂筋にぎんなんが転がってるでしょ? 普段は気にもとめないけど、あれを拾ってうったらタダ同然のものが800円になるんです。なんか魔法みたいでおもしろいでしょ?」
 子どもみたいに笑う。同じ時間を過ごすと、だれもが彼の人間性に惚れてしまうのだ。まるで魔法をかけられたみたいに。
芦屋ぎんなん株式会社のツボ
餃子やシュークリーム専門店のほか、カフェレストラン事業が急成長中の同社。エルメスの皿をシュークリーム用の器として使うなど、女性の好みを押さえた店舗運営はさすが。現在、飲食店だけで23店舗を展開。
■04年11月3日掲載。データなどは掲載当時のものです。


 

≪KEY PERSON≫

杉本 昌秀氏(39歳)

≪PROFILE≫

[出身地]
大阪府

[趣味・特技]
犬とじゃれること

[座右の銘] 
協心


≪COMPANY DATA≫

●創業●
2000年12月

●事業内容●
餃子専門店、洋菓子製造販売、カフェレストランなど飲食店の運営、衣料企画販売、輸入雑貨販売

●所在地●
神戸市東灘区田中町3-3-3 ギンナンビル


 
取材・文/岸良ゆか  写真/岸良ゆか