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3 笑い栗
 今、会社が力を入れている商品に『笑い栗』がある。ここ10年、輸入元の主流はアメリカから中国に移り、栗を仕入れるようになった。しかし、ただ栗を売るのではなく、そこに新たな“仕掛け”を思いついた。焼き栗の皮に割れ目を入れ、栗をむきやすくしたのだ。その形が笑っているように見えることから『笑い栗』と名づけた。冷凍技術に改良を重ね、天然の甘さを損なわずにほっこりとした旨さを実現した笑い栗は、市場に出るやヒット商品になった。
 しかし、このアイデアを模倣したさまざまな類似商品が現れた。市場を創造したからといって、市場を独占できるとは限らない。パイオニアであっても、“NEXT ONE”を求めて走り続けなければならない。


 
≪KEY PERSON≫

立田 慶三氏 (60歳)

≪PROFILE≫

1942年神戸市出身。
食品会社の青果営業を経験後、退職して2年間渡米。日本にはまだなかったファミリーレストランや、地平線まで続く広大な畑が印象に残ったという。1974年、会社の同僚と大和通商を設立。最初の2年は仕事がなく、港で荷役の仕事をしながら食いつないだ。

≪COMPANY DATA≫

●設立●
1974年4月

●事業内容●
農水産物の輸出入及び販売

●所在地●
神戸市兵庫区本町1-3-19



 
取材・文/細山田 章子  写真/滝沢 稔