関西人間図鑑  【第8回  

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メンバーが足りないときは、息子が助っ人
「ちんどん通信社」で8年間の修業を経て独立。1990年に「アコーディオンの魔術師」和田道雄氏に入門する。子どものころから、鍵盤楽器を習っていたが、アコーディオンは特別。温かみのある音色に魅せられた。
「子どもを連れて行ってのレッスンでした」
 身近に音がある環境で育ったひとり息子もアコーディオンの練習を始め、その後10年間レッスンに通った。今は中学校のブラスバンド部でトランペッターとして活躍している。
「メンバーが足りないときは、助っ人で出てくれます。自分で言うのもなんですが、素直に育ってくれました」
 頼もしい息子。女手ひとつで育てている苦労を語っても似合わないバイタリティさ。ちんどん屋さんのイメージが少しずつ重なった。
メールオーダーへで、世界中どこでも行く
 ちんどん屋の仕事は、むかしより行動半径がぐんと広がった。イベントに呼ばれることも多く、インターネットの普及で海外からも引き合いがくる。先日もメールでオーダーがあり、シンガポールの日本料理店のオープニングイベントに出演してきた。
「なによりもうれしいのは『華乃家にぜひ』と個性を認めて、呼んでくれたとき」
 地方のショッピングセンターでは「華乃家さん、今年も来てくれたんやね」とお年寄りに声をかけられた。去年来た「華乃家」と覚えてくれていたのだ。
「芸を披露するだけでは不十分。その場にいるお客さんを必ず楽しませる。そのことにプロとしてのプライドを賭けてます」


 


≪分類≫
ちんどん座長目 
アコーディオン科

≪生息地≫
宮崎県延岡市

≪年齢≫
企業秘密


≪分布≫
大阪・なんばから世界へ

≪活動時間≫
24時間

≪好物≫
焼酎(最近、味に目覚めた)

≪相棒≫
アコーディオン
ちんどん太鼓

≪天敵≫
大阪弁(しゃべれないので)

 
取材・文/藤岡アーヤ