関西人間図鑑  【第6回  

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人間なんて、ちっぽけなもの
 河川の生態学こそが研究のメインテーマだった。1平方メートル当たりに生息する虫の数量を調べれば、捕食する魚を養う力がわかる。世界各地の河川の年間生産力を調査した。吉野川は1平方メートルで年間にアユを5匹養う。世界最高水準だ。
「川はきれいすぎても魚は育ちません。適度な生活用水が入ってこそ魚は育つ。人の営みは自然の食物連鎖に組み込まれているんです」  
 第一線を退いた今でも本の執筆、講演と忙しい日々を送る。
「僕の師匠は吉野川。子どもたちには、自然に弟子入りしてもらい、人間なんてちっぽけなものだということを知ってほしい」
 自然から見れば、人間もカゲロウも大して寿命の差はないとでも言いたげだ。


 


≪分類≫
奈良産業大学 名誉教授目
理学博士科

≪生息地≫
奈良県五條市

≪年齢≫
78歳


≪分布≫
吉野川

≪活動時間≫
5時〜24時

≪好物≫
釣り

≪相棒≫
カゲロウ

≪天敵≫
おべっか

 
取材・文/北村 守康