関西人間図鑑  【第26回  

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「旅行代理店はどうだ?」
 機械とじゃなく、人と人が繋がって いく仕事がしたい。そんな事業を興そうと考えた。飲食店? 遊戯場? でも資金は限られている。悩んでいたとき、友人のひとりが言った。
「ほかと比べて元手がかからないし、旅行代理店をやったらどうだ?」  
 旅行なら、旅先で人との繋がりを持てる。さっそく友人の旅行代理店で研修がてらアルバイトを始めた。
「機械の冷たいイメージとは正反対の、あったかい旅行会社をつくりたい」
 浮かんできたのは、幼い頃に行った祖父母の家だった。牛の世話を手伝ったり、縁側に座ってスイカを食べたり。隣には必ず祖父母がいた。
「2人が大好きで、家へ遊びに行くのが楽しみでした。横で教えてもらいながら牛の世話をする。『あれ食べ』『これ持って帰り』ってもてなしてくれる。そんな損得を考えない人とのふれあいで、繋がりができていくと思ったんです」


 


≪分類≫
旅行案内目 
アナログ文化科

≪生息地≫
大阪府八尾市

≪年齢≫
33歳


≪分布≫
田舎の奥地

≪活動時間≫
9時〜19時

≪好物≫
おばあちゃんの手作り料理

≪相棒≫
やたらデカい携帯灰皿

≪天敵≫
酢味噌

 
取材・文/チノナツコ