関西人間図鑑  【第21回  

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素晴らしさと寂しさ
 工業高校を卒業後、鉄道会社に入社した。当時、世間は60年安保のまっただなか。労働組合の青年部長を務めながら、時代の波にのまれるように安保闘争にのめり込んでいく。
「勉強しましたね。本をいっぱい読んだし、国会議事堂に押しかけたこともあった。そのころ芽生えた『弱者に光を当てたい』という考えが、僕の人生に大きく影響してくるんです」 
 24歳のとき、一冊の本を手にとった。斉藤良輔著の『日本の郷土玩具』。世界に誇れる日本の郷土玩具の素晴らしさと、それらが失われつつあることを知った。
「玩具は子どものためのものだからか、作者に光が当たることは少ない。なんだか弱者が蔑まれているような気がして」じっとしていられなかった。
「会社に勤めながら、休日は玩具収集です。本に載っていた作家の住所を頼りに、リュックを背負って日本中を旅しました」


 


≪分類≫
学芸員目 
オモチャ科

≪生息地≫
兵庫県神崎郡香寺町

≪年齢≫
65歳


≪分布≫
日本全国

≪活動時間≫
5時〜22時

≪好物≫
行進曲

≪相棒≫
セキセイインコのイイコちゃん

≪天敵≫
真似するひと

 
取材・文/岸良 ゆか