関西人間図鑑  【第18回  

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ネタのありか
「お〜いネエちゃん、ちょっとイッパイ飲みに行こうや。これが本当の国際交流やー」
 終電はネタの宝庫。11時過ぎたころの電車にわざと乗り、酒臭いオヤジや疲れ果てたサラリーマンをじぃっと観察する。
「創作落語は、お客さんが『あるある! なるほど』と共感してくれるネタ作りがゼッタイやねん」 スケベでケチな『課長さん』や「パパの花を誉めてあげて」と彼女に言われ「You have very long NOSE,Mr Brown!」とハナ間違いをしてしまう『国際結婚』など、彼女ならではの視点で語られる小噺はメチャメチャ、おもしろい。
「私の国イギリスにもスタンドコメディはあるけど、その人になりきって正座しながらしゃべるパフォーマンスは、世界のどこにもないよ」
 日本唯一、プロの英語落語家としてデビューして早や5年が過ぎた。  
波乗りみたいに
 小さなころからどんなことにでも興味を示す女の子だった。「自分のやり方」を大事にするところも今と変わらない。
「バレエが大好きで、お姉ちゃんとレッスンに通っていた。ところがある日、先生がママを呼びだしてこう言ったよ。『ダイアンがバレエを大好きなのはとってもよくわかるけど、彼女のバレエはひとりメチャクチャ。迷惑になるからやめさせて』って。ママはとっても困った」
 オンナが落語家なんて無理。そう言われると、それだけ燃えた。
「私は自分の気持ちを信じている。失敗したって、それはいい経験になるでしょ? とりあえずやって、できなかったらそのとき考えるよ」
 先のことはまったく考えない。“今”がなにより大切なのだ。「波乗りみたい」と例える彼女の人生には、ふたつとして同じ波はやって来ない。


 


≪分類≫
イギリス目 
落語科

≪生息地≫
大阪市中央区谷町4丁目

≪年齢≫
「言ってもいいけどウソつくで」


≪分布≫
ミナミ一帯

≪活動時間≫
ばらばら

≪好物≫
黒豆・枝豆など豆類
(ベジタリアンなので)

≪相棒≫
パーティ、パーティ!

≪天敵≫
マナーモードにしない人

 
取材・文/中村 神無