関西人間図鑑  【第17回  

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ピンとこないイタリアン
 そんなある日、18歳になった少年は、イタリア料理店のシェフとして働くことになる。
「イタリア料理に関しては、ずぶの素人でね。本を読んで、見よう見真似でスタートしました。けど、独学やから不安もあって、暇をみつけては全国の有名イタリアンの店へ足を運んだりして。そのとき思ったんです。なんや、今ひとつ“ピン”とくる店がないってね。当時はまだ、イタリアンは真新しかったし、自分が行ってみたい、食べてみたいと思うイタリアンを目指したらエエんちゃうかってね」
 和食出身の彼は鮮魚店を経営していたこともあり、イタリアンの枠にとらわれない“本窪田流”のスタイルにこだわった。そして、記念すべき第1号店となる「トラットリア・アル・チェントロ」を天満にオープンさせる。
オヤジのハイライトを吸う小学生
 「料理人は味の区別がつかなくなるから、タバコはご法度っていうけど、大丈夫。僕の舌はそんな柔やないんです。なんといっても、料理の世界に飛び込む前からバリバリに吸っていましたからね」と、元ヤンキーだけあって? 喫煙歴はものすごく長い! はじめて吸ったのは、小学生のときだったという。
「今はキャスターマイルドやけど、最初に吸ったのはオヤジのハイライト。そりゃあ、ものすごい衝撃でしたわ。ある日、オヤジにみつかって、“背が伸びんようになる!”て思いっきり怒鳴られたんです。けど、嘘やった。グングンと背が伸びたんですよ(笑)」 
 既存の枠に捕らわれない、独自の料理スタイルを確立させた175pのこの男、ライフスタイルもすごかった。


 


≪分類≫
元ヤンキー目 
オーナーシェフ科

≪生息地≫
大阪市北区与力町

≪年齢≫
34歳


≪分布≫
アル・チェントログループの店舗

≪活動時間≫
9時〜24時

≪好物≫
飲むこと(とくに焼酎)

≪相棒≫
パスポート

≪天敵≫
人間

 
取材・文/松原 宏子