関西人間図鑑  【第16回  

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他人の喜ぶ顔が見たい
「こんなに小さい事務所でも大きな組織に見せられる」
 インターネットを活用すれば、立派なオフィスなんていらない。その証拠に、10坪にも満たないオフィスで2004年のプラネット映画祭では、全国から350タイトルを超える作品応募があった。  しかし、賞金の出ない映画祭では上映作品の監督を遠方から大阪に呼ぶのは難しい。
「みんな貧乏ですから、トークセッションで監督をステージに上げ、ギャラと称していくらかペイするんです。旅費の足しにしかなりませんが」
 それでも、彼の人柄に魅せられて、毎年、全国各地から未来の大監督が大阪に集まる。
「以前は彼らを実家の寺に泊めていたんですが、そうすると映画談義に花が咲いて一睡もできなくなるんです(笑)」
 連日行われる映画祭の最中も檀家への訪問は欠かさない。
「でも結局、監督やスタッフを連れて朝まで飲み歩いてますから一緒ですけどね」
 映画祭が終われば、彼らを連れて大阪を案内する。他人の喜ぶ顔を見るためなら、苦労はいとわない。“世話焼きな兄貴”若き才能たちは、そう思っているにちがいない。


 


≪分類≫
イベントプロデューサー目
浄土真宗科

≪生息地≫
西淀川区姫島

≪年齢≫
33歳


≪分布≫
扇町界隈、仏壇の前

≪活動時間≫
9時〜15時
16時〜翌2時

≪好物≫
B級グルメ

≪相棒≫
ボランティアスタッフ

≪天敵≫
口だけで行動しない人

 
取材・文/北村 守康