関西人間図鑑  【第14回  

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この仕事は人の役に立てる
 翌年の朝日新聞入社試験には最終で落ちた。どうしようか迷ったが、八百屋からエンジニア、経営者から労働者まで多岐にわたる人に会える今の仕事にも魅力を感じるようになっていた。そのままリクルートに就職し、33歳で『B−ing』と『とらばーゆ』の編集長になった。
「適職を求めて困っている人には、どういう情報が必要か。そこを第一に考えながらやっています」
 その言葉を裏付ける特集を組んだことがある。山一證券が倒産したときのことだ。新聞はこぞって「金融ビックバーンがこけた」「社長が土下座した」と、おもしろおかしく紙面を飾った。そのウラで、B−ing編集部は特集の組み直しに追われていた。
「9千人もの優秀な人材が路頭に迷うのか、と。中小企業は優れた人材を求めている。すぐに金融業界でキャリアを積んだ人材を募集する企業特集を組んだんです」
 ブームに乗って騒ぎたてる新聞とは違い、あくまでも社会に、企業に、そして人に役立つ情報の提供に徹した。
「自分は役に立てたで、という自負が今でもあります」
 ギロッと相手を直視する目は、『岩窟王』を思い出させた。
■04年2月8日掲載。データなどは掲載当時のものです。


 


≪分類≫
弱者目  
就職情報科

≪生息地≫
リクルート
B-ing・とらばーゆ編集部

≪年齢≫
38歳


≪分布≫
キタ区

≪活動時間≫
9時半〜24時

≪好物≫
セブンスター(毎日軽く3箱)

≪相棒≫
ドトールのコーヒー(真冬でもアイス)

≪天敵≫
警察官

 
取材・文/中村 神無