関西人間図鑑  【第12回  

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人間がいちばん怖いですね
 もちろん、芝居だけでは食べていけない。週4回、東大阪市内にある公共施設の夜間警備の仕事で食いつないでいる。
「もともと怖がりなんですが、この仕事のお陰でかなり恐怖心は克服しましたね」
 だが、学校の夜まわりだけは今でも恐怖を感じるという。
「とくに音楽室。急にピアノが鳴るんじゃないかとか、歌声が聴こえてくるんじゃないかとか思って。壁に掲げられている肖像画も不気味ですしね。でもバッハやベートーベンの亡霊に襲われたっていう話は聞きませんでしょう(笑)。そう考えると、生身の人間がいちばん怖いですよ」
 夏休みになると、地元の不良グループが真夜中の学校に忍び込んで花火をしたり、タバコを吸ったりして戯れる。
「ゴミを始末して、早く校内から出ていけ!」と凄みを効かした眼で少年たちを一蹴するが心臓はバクバク。これも芝居の稽古なのかもしれない。


 


≪分類≫
劇団camp.06目  
座長科

≪生息地≫
竜田川のほとり

≪年齢≫
36歳


≪分布≫
スポットライトの下

≪活動時間≫
7時〜翌2時

≪好物≫
パソコンいじり
舞台小道具作り

≪相棒≫
台本

≪天敵≫
フリートーク

 
取材・文/北村 守康