関西人間図鑑  【第12回  

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台本がないとしゃべれないんです
 甘みと苦みがほどよくブレンドされたキャラメルマキアートのようなステージ。劇団『camp.06』は、日常に潜む笑いと感動のシチュエーションコメディーで関西の各劇場を沸かせている。
「台本がないとしゃべれないんです」
 苦笑いを浮かべながら、うつむき加減でボソリと呟く。『Xi−zou〜笑う忍者〜』の舞台で威武堂々とした真田幸村を演じた人物とは、正反対の気弱な印象だ。
「今日は遠いところをどうも。奈良の名産です」
 息子の緊張を悟ったように、絶妙のタイミングで母親がお茶と柿の助け舟を出す。
「ありがとう」
 母親にやさしくほほ笑む息子。まるでホームドラマの1コマを観ているようだ。36歳の劇団座長は、多くの万葉人が歌を詠んだ竜田川のほとりで親と暮らしていた。


 


≪分類≫
劇団camp.06目  
座長科

≪生息地≫
竜田川のほとり

≪年齢≫
36歳


≪分布≫
スポットライトの下

≪活動時間≫
7時〜翌2時

≪好物≫
パソコンいじり
舞台小道具作り

≪相棒≫
台本

≪天敵≫
フリートーク

 
取材・文/北村 守康