関西人間図鑑  【第11回  

 >3>
 

掘れば生命の水が涌く
 大学卒業後、インドに留学した。休日を利用して農村めぐりをしたことがある。夏のインドは気温45度をゆうに超える。農家の人たちがもてなしてくれた水は最高にうまかった。数週間後、熱っぽく体が軽くなった感覚で南インドの病院を訪れると、腸チフスだと診断され、即入院。不衛生な溜め池から汲み上げられた水が原因だった。「今まで1000基近い井戸を掘りました。村に井戸があると、一日に何時間も費やして水汲みをしに行く子どもや女性の負担が減る。子どもは勉強する時間が、女性は自分の時間を得ることができる。そして、なによりも清潔な水がいつでも飲めるという、生きてゆくうえで最も大切なことが実現できるんです」
1000円を出させる熱意がほしいわな
 企業の献金、市民の募金は協会運営、活動において不可欠である。
「今でこそ、企業のトップクラスが会員に名を連ねてくれていますが、むかしは企業がNGOのスポンサーになると聞いただけで、社長の道楽と嘲笑されました」
 それでも隙あらばと、援助の大切さを説いてまわり、大手企業も運動に巻き込んできた。
「運動に机上の理論なんて役に立たない。最近は大学なんかにも国際協力のカリキュラムがあったりするけど、カッコいいイメージだけを膨らませた学生は役に立たんわね。ムズカシイことはどうでもええから、アンタの熱意を伝えて近所のオバチャンから1000円もらって来られるか、大切なんは人の気持ちを動かせるかどうかなんですよ」


 


≪分類≫
アジア協会アジア友の会目
理事・事務局長科

≪生息地≫
肥後橋界隈

≪年齢≫
62歳


≪分布≫
アジア全土

≪活動時間≫
6時半〜翌2時半

≪好物≫
秘境、未開の地

≪相棒≫
手帳

≪天敵≫
ルーティンワーク

 
取材・文/北村 守康