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1 水との深い縁 |
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「私は“水”と縁があるんです」
防水工事で使う止水器具を前に、穏やかな口調で言った。ゴムまりを半分に割ったような器具にセメントを詰め、水漏れ箇所に貼りつける。
最初の“水の記憶”は、故郷の山口。炊事や洗濯で水を使っている光景だ。
「幼いころに母と生き別れ、家事をすべてこなしていました」
友達と遊ぶ時間は必然的に少なくなる。
「合間に見た、川の流れる風景に慰められたね」
1980年、商社を辞めた。建築士の免許があるのに、あえて防水工事の仕事を選ぶ。ちょうど南港の人工河川で水漏れ事故が起こり、「技術もないのに」手を上げたのだ。
「毎日、大阪市港湾局に工事の受注をもらおうと足を運びました。工事が入札制だなんて知らなかったんです。あんまりしつこいので担当者が顔を覚えていて、大手ゼネコンを紹介してくれ、そこからの下請けというかたちで受注できたんです」
商社時代の仲間から職人を紹介してもらい、彼らと仕事をしながら技術を身につけた。
「壁に手を当てるとわかるんです、水漏れの箇所が。自然が教えてくれるんです」 |
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≪KEY
PERSON≫
板屋 務氏(57歳)
≪COMPANY DATA≫
●創業●
1980年2月
●設立●
1989年7月
●事業内容●
防水工事・施工、『ウォーターショップ水来』の経営
●所在地●
大阪市北区天神橋4-7-12
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