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1 採算の合わない事業
 バリアフリーマウスとは、障害者がパソコンを操作できるように開発されたマウスだ。松本さんがこの製品にかかわるようになったのは、2年前のこと。学習教材会社がバリアフリーマウス事業部を創設することになり、その立ち上げを手伝うために転職したことがきっかけだった。「それまではイベント会社でプロデューサーをしていたんです。ぜんぜん違う業界でしょ」と、おどけてみせる。
 最初に作ったバリアフリーマウスは縦・横30cm、高さ10cmのノートパソコンよりも大きな筐体(きょうたい)に、モニタのポイントを動かすためのターンテーブル付き。
「でも、使い勝手が悪くて全然売れなかった」
 養護学校の先生や作業療法士さんにアドバイスをもらい、なんとかお弁当箱ぐらいまで小さくすることができたが、喜びもつかの間、突然の解雇通告を会社から突きつけられた。採算がとれないために、会社が事業からの撤退を決めたのだ。


 

≪KEY PERSON≫

松本 久司氏(39歳)

≪PROFILE≫

[出生・出身地]
1949年 和歌山県生まれ

[趣味・特技]
木製品などのモノづくり

[座右の銘] 
以誠対人
(いせいたいじん:松本さんの造語。「人に対して誠意を以って物事にあたると、誠意を以って還ってくるから、常にその心を以って行動しよう」の意


≪COMPANY DATA≫

●創業●
2004年4月

●事業内容●
バリアフリーマウスの企画・製造・販売

●所在地●
大阪市淀川区西中島3-5-12新大阪浪速ビル202号


 
取材・文/細山田 章子  写真/小島義秀