|
|
2 ヒントは自分自身 |
|
小さなロボットを作って楽しむ人たちがいる。「僕も作りたい」そんな思いから会社を立ち上げた。しかし、すぐに頭を抱えた。
「人間らしい動きに徹底的にこだわりたかったんです」
どうすればそれができるか。試行錯誤の末にたどりついたのは“自分自身”だった。
「正確に、早く歩かせるために自分の体を使って細かく設計していきました」
実際に自分が歩き、関節の動き方を調べ上げた。腕の曲がり具合や足を持ち上げる角度など、何千回と同じ動作をくり返しながら、少しずつロボットに反映させて組み立てる。気の遠くなるような作業だ。
ノコギリで部品を切り、微妙な大きさや形も調節した。こうして完成した自分の分身である『はじめロボット』の1号機は、大ぶりながらもゆっくりと、その足で歩き始めた。 |
3 要 |
|
「じゃあ動かしてみましょう」
その言葉と同時 に、はじめロボット4号機が軽快にこちらに走 ってきた。想像以上の速さに思わず目を見張る。安定感のある足取り、リズミカルなフットワー
ク。動きは人間そのものだ。
歩行を修得したあとで、ほかの動きを覚えさ せるのは簡単だった。プログラムの制御は得意 分野。背中の小さなCPU(中央演算処理装置)
こそ、はじめロボットの“要”なのだ。
「人間 で言えば“心臓”ですね。ここに膨大な動きの データがインプットされています」
器用に片足で立ち、前転をしたり、踊ったり、 ゆるやかに太極拳も披露する。冷たい金属のガ ッシリしたカラダに似合わぬ、細やかでコミカ
ルな動き。失敗しても愛嬌がある。なんだか、 赤ちゃんを見ているようで、愛おしく思えた。 |
|
|
|
≪KEY
PERSON≫
坂本 元氏(37歳)
≪COMPANY DATA≫
●創業●
2002年12月
●事業内容●
産業用・各種ロボットの設計、製造、販売
●所在地●
大阪市東淀川区東中島5-6-21
|
|
|